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(話題2) 気温、気圧とリンパ球数の対応(自律神経の働きをみてみた)

 免疫細胞は、体温が高いときに活発に働くということを受けて、では、気温が高いとリンパ球がどう働くか、興味があって調べてみました。

福田先生(外科医)と安保先生(新潟大学名誉教授)との共同研究の成果として、高気圧のときには交感神経が優位に働いて顆粒球(の比率)が増え、低気圧のときには副交感神経が優位に働いてリンパ球(の比率)が増えるということが言われています。副交感神経が優位に働くと、副交感神経の末端からアセチルコリンが放出され、これとリンパ球が特異的に結合して増えるといったことのようです。

 そうであれば、さっそく寅三郎も試してみようと、まず、データ間の相関をとってみました。その結果、リンパ球(数)と海面気圧との間で弱いながら負相関の結果が得られ、また、平均気温との間では正相関が得られました。このことは、気圧が高(低)ければ、リンパ球数が少なく(多く)、また、気温が高(低)ければ、リンパ球数も多く(少なく)なるということを示唆しています。おおむね理論どおりの結果が得られました。

  Lymph(数)↓ Lymph% 海面気圧 平均気温
Lymph(数) 1      
Lymph% 0.701397359 1    
海面気圧 -0.17259727 -0.036431 1  
平均気温 0.343226176 0.2198871 -0.208779 1

 

 つぎに、両データの対比をみるために、無次元化してグラフで眺めてみることにしました。負相関の関係にあるので、逆の対応がみられると思いきや、あまり明瞭ではありません。もしかして、気圧の変化とリンパ球数の反応との間に時間差があるのかもしれません。そうであれば、一方の時間をずらして相関を取った場合に(ラグ相関)、両者の間に負相関が認められるのかもしれません。しかし、データは等間隔で得られているわけでもありません。時間的にトビトビのデータです。残念ながらその辺が限界です。

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 つぎに、日平均気温とリンパ球数との対応もみてみました。こちらは、気温が高いときにはリンパ球数も多く、逆に気温が低いときにはリンパ球数が少ないといったことで、正相関の結果とも比較的よい対応が得られました。

 

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 寒いと交感神経が優位に働いて、血管を収縮する方向に働きますが、副交感神経は休みます。このため、末端から出るアセチルコリンが少なく、リンパ球数が少ない方向に誘導する。逆に暖かいときは副交感神経が優位に働いて、血管を広げる方向に働き、リンパ球も多く放出されるといった文脈で理解できるのではという気がしています。そう考えると、夏にインフルエンザに罹患することが少なく、冬に多くなるのは、リンパ球数が減って、体の防御が手薄になるからでしょうか。

 なお、グラフが自動的に作られるため、日にちとは完全に一致していません。