自分らしく今を生きる!

自ずから収まるところに収まる

自律神経を鍛える呼吸法

 笑いが健康に与える影響について、笑いによって免疫力が活性化されるとする発表がいろいろになされています。三宅ほかの発表(参考文献)によればNK細胞が活性化されるという文献が多いようです。引用すれば「お笑い健康講座参加者27名に笑いの効能についての20分程度の講演と2時間程度の落語を体験させ、笑い体験直前30分以内と直後30分以内に NK細胞活性の検査を実施した結果、27名中18名の NK細胞活性の上昇を認めた」、残りの9名もNK細胞活性は実施前からすでに基準値を超えていたといったことを紹介しています(西田ほかの実験の紹介)。9名の方は高座を期待して高揚感が高まっていたので初めからNK細胞が活性化していたのでしょう。

 ここで、NK細胞について整理しておくと、NK細胞はリンパ球の一種です。細菌(真菌)が侵入した後に顆粒球(好中球、単球)とともに最初に撃退にあたる免疫細胞です。日常的に顆粒球(好中球、単球)とNK細胞はセットで探査活動をして、外敵を見つけると駆除します。しかし、これとは別に、笑いによって緊張が無意識のうちにゆるみ、副交感神経が刺激された結果、末端からアセチルコリンが出て、リンパ球(のうちでNK細胞)の放出を導いたと考えることはできないでしょうか。

 真偽のほどはさておき、こういったことを無意識のうちにやりとげるというためには、緊張を緩める機会を意図的に作ってやることが必要なように思います。軽い運動をして汗をかいたり、静かな音楽を聴くとか、あるいは芸術に親しんだり、美味しいものを食べたりしてたまには体と頭を休ませることが重要なのだろうと考えます。

 このように、自律神経を意図的にコントロールすることはできませんが、体を守るために都合よく動くように仕向けることはできるように思います。中村天風の本がこのあたりを紹介していて、本を読むと、クンバハカという訓練法がでてきます。肛門をグッと閉めて、肩の力を抜き、丹田に力を込める。この一連の動作を一瞬にやる。1日2,000回でも、何回でも繰り返すことを推奨しています。繰り返すことで、自律神経が安定化するようです。寅三郎は何度目かの入院の際に知人から中村天風の本を紹介され、病院の売店に行くとたまたま天風の本が置いてありました。このクンバハカをやると、不思議と心が落ち着くような気がしました。ちょうど、重量挙げの選手が腹を決めて、一気にバーベルを持ち上げるときのさまを想像すればわかりやすいと思いますが、まさに人は一瞬にして心身統一をして事に臨むことができる方法がクンバハカ法なわけです。

 現代はストレス社会です。ストレスと上手に付き合っていく必要があります。それは、アスペル君と上手に付き合っていくことでもあります。また、よけいな詮索をしてしまいました。お許しください。ではまた。

 次回は、このシリーズの最後になります。アスペルで闘病中の皆さんに、あいつもいっぱいブログ書いていたけど、やっぱりだめだったか、アスペルは強烈だな、なんて妄想させてしまっても申し訳ないので(笑)、次のステップへ、元の生活へ戻ることを意識したブログへ舵を切りたいと思います。この病で闘病中の皆さん、一緒に頑張りましょう。「夜明け前が最も暗い」ということわざもあります。引き続き、お付き合いいただければ幸いです。

(参考)

健康における笑いの効果の文献学的考察、三宅 優ほか、岡山大学医学部保健学科紀要、17巻、pp1-8、2007.

笑いとNK細胞活性化の変化について、西田ほか、笑い学研究、8巻、pp27-32、2001.