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そもそもカビって?

① そもそもカビって?

  • 一般的説明

 人に害を及ぼす可能性があるものとして、ウィルス、細菌、真菌(カビ)があります。大きさもこの順序で違いがあります。ウィルスは細胞自体が単純な構造をしていて、自力で増殖(自分のコピーをつくること)することができません。なので、ヒトの細胞に入り込んで、細胞を乗っ取って自分の分身を多く作ります。これに対して細菌は複雑な構造をしており、自力で栄養を取って増えることが可能です。栄養環境が整っていれば細菌はいくらでも増殖しますが、ウィルスは細胞をハイジャックできなければいつまでたっても増えません。これは実験でも確認されています。

 細菌と構造が似ているのですが、細菌以上にヒトの細胞に近い構造をしているのが真菌です。しかし、違いとして、ヒトにはない細胞壁を有します。また、細胞を包む膜も違います。ヒトの細胞膜はコレステロールでできていますが、真菌の場合はコレステロールと同様の働きをするエルゴステロールという物質でできています。この、エルゴステロールの形成を妨げるか、あるいは細胞壁の形成を妨げることができれば、創薬になります。これがブイフェンドなどの抗真菌薬です。

 「真菌と真菌症」という雑誌にあった論文で、動物実験で、血清鉄を過剰に与えたグループと与えないグループに分けて、両方にCandida albicansの胞子(真菌)を静脈注射して両グループを比較したところ、ともに腎臓に腫瘍がつくられた。ただ、鉄投与群では腫瘍内にカンシダの発育を認めたが、与えないグループでは認められなかったという結果が示されていました。血清鉄はヘモグロビンの材料になりますが、細菌や真菌にとっても重要で、この動物実験から、真菌は血清鉄を使って、自分の体つくりに利用しているのではないかと推測が働きます。ですから、逆に真菌から鉄を奪い取ることができれば、少なくとも増殖は抑えられるのではないかという気がしています。この結果は、朗報のように思いました。というのは、ラクトフェリンが市販されていますが、これは鉄と結合する性質があり、細菌から鉄(鉄イオン)を奪うことによって、抗菌作用を発揮するといわれているからです。食品中の鉄分を体内にうまく吸収させる働きもあります。市販のヨーグルトタイプは含まれる量が100mg程度と少ないことから、果たして長期摂取すれば免疫強化の効果が得られるものか、気になるところです。

 また、鉄が不足すると、胸腺が委縮するとの研究もあるようです(Bowlus, C. L. (2003). The role of iron in T cell development and autoimmunity. Autoimmunity reviews, 2(2), 73-78.)。いずれにせよ、鉄はこの病や、免疫のはたらきを理解するうえでキーワードのひとつになるような気がしています。

 

  • 寅三郎の場合

 真菌が血清鉄を自分に取り込んで利用しようとするのであれば、その分、鉄不足を起こして、ヘモグロビンが少なくなるのではないか、寅三郎は考え、ヘモグロビン量とβDグルカンとの対応を調べてみました(下表)。グラフから、慢性期(2016年)の最初の頃は、ヘモグロビン数値、リンパ球数値ともにやや高値推移で、体調が比較的よかった時期と一致しています。その後、急性期(2018年)を迎え、体調が悪化、βDグルカンの値が200以上(正常時の40倍)にまで増えますが、この時期は、ヘモグロビン数値、リンパ球数ともに次第に低値傾向にありました。今年に入ってからは、ヘモグロビン、リンパ球数ともに回復傾向にあります。体調もよいです。

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実は、一年ほど前からラクトフェリンの継続摂取をしています。ラクトフェリンは血液中には吸収されずに、腸管免疫系に作用するということなので、細菌の鉄イオンを奪い取る方向にはたらく結果、ヘモグロビン量が回復してきたのかなあとも考えましたが、効果のほどは寅三郎にはまだよく理解できていません。

(参考)

鉄 代 謝 か らみ た 深 在 性 真 菌 症 の 組 織 応 答

Medical Mycology Journal 30巻 pp254-259 1989

         (著者)阿部 章彦 加藤 匡志 稲葉 鋭

ラクトフェリンとは?7つの効果効能と飲み方・副作用 | Cury