自分らしく今を生きる!

自ずから収まるところに収まる

(話題3)アスペルギルス菌の状態を我々はどこで認識できるか(血液検査の話題)

寅三郎がこの病に罹って、病院で血液検査を受けたときに、CRPは常に測定しています。その一方で、βDグルカンや、アスペルギルス抗原(ELISA法)の値をたまに測定される場合があります。これらの結果は、CRPは1時間ほどで知らされますが、他の二つは結果が出るまでに2~4日程度は要するようです。

 このうち、アスペルギルス抗原については、どうもよくわからない。完治している患者さんでも抗原が+の方もおられる反面、発症していても抗原が―の方もおられるようです。こういった訳の分からない基準を、病院の先生方はどういった理由で見ておられるのか、患者としても、気になるところであり、一応調べてみることにしました。

 ELISA法とは、アスペルギルス肺症の原因となる物質(抗原)の量を測る技術で、抗原と抗体を結合させて、抗原抗体反応を起こし、そこに含まれる抗原の量を測ることのようです。検査対象(抗原)に酵素標識をした抗体を加えて、抗原抗体反応を引き起こさせ、その反応の際に使われる酵素の残量から、抗原の量を推定するのではないかと寅三郎は勝手に推測していますが、推測の域を出ません。名古屋にいるときに、病巣に生理的食塩水を流して、その水を採取して診断することを受けたように記憶していますが、今思えば、おそらく、この方式ではなかったかと考えています。

 他方で、ではなぜ、アスペルギルスの抗体量を直接に測ることをしないのか、抗体量をみることで、抗原の量を推測することができるのではないかといった素朴な疑問があります。参考文献によれば「血清アスペルギルス沈降抗体検査の有用性については以前より認識されており,近年我々も、CPA(慢性肺アスペルギルス症;寅三郎追記)患者における血清アスペルギルス沈降抗体検査の陽性率が,アスペルギルス抗原のそれより優れていることを報告した。しかし我が国において本検査はいまだ 保険適応でなく,その陽性判定基準や検査精度について 本邦のデータは少ない」との指摘がなされています。理由はわかりませんが、今現在も、抗体検査は保険適用に至っていないのではないでしょうか。

 以上を踏まえて、抗原検査についての疑問も持っています。抗原検査は、血清中の抗原を調べるものですが、血管外にある組織に巣くっている、アスペルギローマの抗原はあるいはカバーしていないのではないかという疑問です。第二に、血清中に限ったこととして、判定の精度がどれくらいのものかという疑問です。完治しているのに抗原が+とは、偽陽性が一定程度含まれるということなのか、一度、ご専門の方に伺ってみたい思いがあります。

 ちなみに、正常範囲は、0.5未満を陰性、0.5以上を陽性としているようです。

(参考文献)

血清アスペルギルス沈降抗体検査症例の臨床的検討、安藤陽一郎ほか、日呼吸誌1(1)、2012.