自分らしく今を生きる!

自ずから収まるところに収まる

なぜ喀血するのか、血痰が出るのか

―血痰の血液の出所はどこなのか―

(1)一般的説明

 実は、この項目だけは書きたくなかった、絶対に書きたくなかった。冒頭にいきなりですみませんが、寅三郎の偽らざる本音です。この病と無理やり付き合わされて8年、つい最近まで血痰が続いていましたから。今でこそ、血痰イベントはありませんが、時折、その時の状況が脳裏にフラッシュバックすることがあります。とはいえ、記憶を封印していても先に進めない。こんな情報でも、血痰に悩んでおられる方にとって、なにがしかの参考になるかもしれない。そう思って、今一度、血痰の記憶と向き合うことにしました。

 寅三郎は、8年前にこの病にかかり、肺炎でも起こしたかと考えて、近所の病院にかかりました。医師の診断は膿胸。意外な病名でした。右肺の上半分がほぼ真っ白。抗菌剤を2週間も飲んだのに効かない。医師も首をかしげていました。「肺が腐っている」とまで言われて、寅三郎はショックを隠し切れませんでした。患者にこんなことを言う医師っていったい?「腐っているって?俺の肺が?腐っているってどういう意味だ?」。自問自答を繰り返しましたが、答えが得られるはずもありません。この後、体調はやや持ち直しましたが、体調不良はかわらず。黄色い痰は相変わらず続いていたように思います。職場の階段を昇るときも、これまでとは違って息が切れました。同僚にいとも簡単に追い越されていく自分がみじめでしかたがありませんでした。

 罹患して半年後、仕事の関係で名古屋に転居しました。そこではじめてアスペルギローマ(肺の上葉になにかの原因で空洞ができていて、そこにカビが入り込んでいる)の診断を受けました。肺の上葉を侵すのは、だいたい結核菌か、誤嚥性だそうです。細菌感染は上葉をめったに侵さない。これに対し、真菌は上葉に入り込むということなのでしょう。寅三郎の肺に空いた空洞(上葉)も、詳細は不明ですが、過去に罹患した?陳旧性結核で空いたものかもしれません。イトラコナゾールの処方を受けました。ただ、維持療法でしかなく、医師からは、この後、徐々に悪化して10年もしたら鼻から酸素チューブを差し込んで、酸素ボンベを引いて歩く生活になるかもしれないといわれました(その10年がまもなく訪れます。徐々に悪化した現象は、その後止まり、カビは消え、いまは、症状は落ち着いています。)

 名古屋に移って早々に、職場で喀血が一度ありました。洗面所に駆け込むと鮮血がパット広がりました。この時はさすがに恐れましたが、それ一度きりで、名古屋で暮らした2年間はもっとも体が安定した時期でした。名古屋の坂の多い道をママチャリで所狭しと乗り回しました。ただ、未明から早朝の時間帯に、決まって桃色の痰が少し。この頃に、たまたまドックでお世話になった病院の外科医に、思い切って、カビのことをお話ししてみました。すると、これくらいなら私なら、切ってなおしてあげれると言ってくださいましたが、まだ、胸膜の癒着が小さく、膜から剥がしても、血管を痛めて大量出血するといったリスクがないと判断されてのことだったのでしょう。

 5年前(2016年)に田舎に戻ってからは、つい最近まで血痰が続きました。枕元にテイッシュボックスを置いて寝る生活が続きました。

 3年前(2018年)には再び喀血するようになりました。この喀血が曲者で、大量喀血したときは命の危険を伴うので、すぐに救急車を依頼して入院するように言われました。また、大量の血液が気管に流れ込まないように注意することを示唆されました。窒息の危険があるためです。常時は止血剤を処方されていました。このときは、もう長くないなと思いました。せめて、古稀(古来稀なり)を経験してからにしたいものだと思いました。この頃は、右肺の上葉が真っ白で、βDグルカンは220にも上がっていました。

 血痰は、文字通り、痰に血が混じる現象です。

痰については、「なぜ痰がでるか」で、前提として議論を試みました。白血球が増えて、免疫細胞が細菌の駆逐を進めた後に、現場に残ったマクロファージが、肝臓に「目印を作りなさい」という情報を出します。この情報を受けて、肝臓では、必死にCRP製造に励んだ結果、細菌の表面にくっつけられたCRPを目印に、現場のマクロファージが、傷害を受けた細胞もろともに飲み込んで消化してしまうといったイメージをお伝えしました。

 血痰は、その痰に血が混じることを指します。では、どの段階で血が混じるんだろうと考えると、これがまったく想像もつかない。真菌が正常細胞を傷害したとき?しかし、正常細胞に血が通っていなければ、一緒に血が流れるということもないんではないか、そんなことをつらつら考えてきました。なんで血痰がでるのか、これまでも折に触れて先生に聞いてみたことがありましたが、納得のいく回答はなかなか得られませんでした。

 ところが、今年の10月頃になって、ある論文がヒントを与えてくれました。それは、カビはタンパク質分解酵素のひとつであるエラスターゼを排出するということを記していました。このことは、論文の本旨ではなく、意図はその先にありましたが、それはさておいても、よいヒントになりました。血管も組織もすべてタンパク質でできています。そうであれば、カビがタンパク質分解酵素を出して、組織を溶かして自分の栄養に取り込んで いると考えても不思議ではありません。

 では、この際に、赤血球(ヘモグロビン)が狙われるとしたらどうでしょうか。ヘモグロビンは鉄と結合して赤色を示します。鉄は、「(話題)免疫でコントロールできているかどうかを、時系列で把握できないか。」でも議論しましたが、細菌にとっても生きるために大事な構成要素です。この鉄(Fe)を奪い取ろうとした結果が、痰に血が混じる原因として表れているのではないか、想像の域を出ませんが、寅三郎はいまはそのように考えています。

 ところで、カビもまた生物です。ヒトに危害を及ぼすために侵入したわけではありません。カビに悪気はない。生存戦略があって、快適な環境にあるヒトの肺に入り込んだ結果ということが理解できました。

 それにしても、断りもなくヒトの空洞に入り込むとは。ヒトが居座れば不退去罪ということもありますが、居座ったカビは、故意がないから、不退去罪で検察に告訴するわけにもいきません。ただ、あたりを壊し放題に壊されて、損害賠償を請求したいくらいの気持ちです。民事賠償も空振りですが・・・

 

(2)寅三郎の場合

 なぜ、血痰イベントが消滅したのか。これには、カビの総量が減少したことと、体の免疫が上がって、免疫細胞による駆逐が進んだことがあると考えています。体の栄養状態がよくなったこともあります。

 カビの総量が減少した理由ははっきり言ってよくわかりません。唯一、この頃に始めていたこととして、藁にもすがる思いで飲み始めた、チャコール(活性炭)療法がありました。先生に伺うと、活性炭は毒素を除去(吸着)する目的で、医療現場で使われることがあるが、カビに効果があるかどうかははっきり言ってよくわからないとの返事でした。体に悪くないのであれば、悪あがきついでにやってみようと始めたことでした。この療法が奏功したかどうかの判断は、今はペンデイングしておきますが、とにかく、この頃にカビの総量は著しく減少し、βDグルカンの値は6まで低下しました。

 免疫の向上を直截に表す量を知りませんが、「(話題)免疫でコントロールできているかどうかを、時系列で把握できないか。」でも議論した、ヘモグロビン量をその基準として考えることをすれば、最近はヘモグロビン量が大きく改善してきています。免疫の力が上がってきていると考えています。これに歩調を合わせるように、血痰も大きく減少しました。

 細菌から鉄を奪い取って、真菌の勢力を弱める戦法は、実は一年前から始めていて、ラクトフェリンを摂取することです。しかし、市販のヨーグルトで摂ったとしても一日100mgほどにしかなりません。最低、150mg以上を毎日摂取する必要があるともいわれていて、この程度の量で簡単に効果を判断することもできません。

(参考)

トータルヘルスサイト » チャコール(活性炭)療法 (kenkou-8.org)