自分らしく今を生きる!

自ずから収まるところに収まる

発熱や胸痛があるのはなぜか

 -治癒が少し遅れても、症状を取ることを優先するか、治癒を早めて症状を我慢

するか―

(1)一般的説明

 高熱が出たり入ったりが、数日でも続けば、肺炎の疑いが強くなり、とりわけ、私たちのようにカビの影響を常時受けている者にとっては見逃すことのできない重要なサインの一つになりますが、高熱が出ない肺炎も実は2割程度はあるようです(考える技術_臨床的思考を分析する、スコット・スターンほか、P104)。これは、推測するに、外部から細菌やカビの襲来を受けずに、何らかの原因で肺が本来の機能を果たさなくなった場合、たとえば、肺胞が線維化して柔軟性を失って肺の動きが悪くなった(間質性肺炎)等がこれに当てはまるのではないかと思っています。

 以上を前提として議論を先に進めれば、高熱が出たり入ったりするような場合は、細菌性肺炎を疑って、迷わず医者にかかったほうがよいということになります。

 発熱とは、37.5度以上をいうとされます。なぜ発熱するかといえば、発熱することで体が免疫細胞の働きを活性化する方向にスイッチをいれるためです。仕組みとしては、外敵に遭遇した免疫細胞がサイトカイン(生理活性物質)を出して信号を脳に伝え、それを受けて、酵素の働きによってプロスタグランジンをつくりますが、この働きによって、脳では、痛みを認知すると同時に、体温を上げる方向に舵を切るという流れを持っているようです。このプロスタグランジンが作られる際に使われる酵素のはたらきを阻害して、化学反応を先に進ませないようにすれば、熱や痛みを取る創薬になるということです。

 ただ、熱があるからといって、安易に解熱剤を飲めば、治りを遅くすることにもなりかねません。我慢できるほどの熱であれば、薬を使わずに済ませることがよいのではと考えます。

 逆に、体温を常に36.5度~37度くらいの高めに維持できれば、免疫が適度に働いて病気になりにくいとも聞きます。体が冷えにくい状態とは、血流がよい状態をつくることです。それは血管を広げる方向に作用しますが、血管を広げるのは副交感神経の働きです。これは、リンパ球体質をつくるということにつながり病気をしない体質に導くのではと思っています。

 つぎに、胸痛についてですが、肺には知覚神経がありません。このため、病変が胸膜や胸壁に及んで肋間神経を直接刺激しない限りは、痛みを感じることはありません。気胸は胸膜を損傷する場合ですので、肋間神経を刺激して強い痛みを生じさせそうですが、寅三郎が経験した気胸は痛みを感じないものでした。また、肺からの痛みだと思っていたところが、実は食道の炎症(逆流性食道炎)が原因だったということもあり、胃液を強力に止めるプロトンポンプ阻害剤を処方してもらったところ、胸痛が治ったということもあるようです。

  このように、胸の痛み一つをとっても、複雑でおよそ想定外の臓器が痛みを発している場合もあります。医者であれば、様々な患者を相手にしますので、作業仮説を用意して、それが当てはまらない場合に予備の仮説もいくつか用意して、リスクの大きいものからつぶしていく、というように様々なストーリーを検討する必要があるのでしょう。しかし、我々は医者ではありません。一人の患者です。となれば、我々のやるべきことはただ一つ。敵を知る必要という点では共通ですが、医者の場合と異なって、己を知る必要はなく、確認するだけで足りるということです。自分はどこの臓器が弱いか、これまでにどういった病で苦しめられたか、その際に、見逃してはならない重篤な症状は何があったかをあらかじめ確認してことが大事で、かつ、それで足りるのです。

 

  ポンコツ車で楽しい日々を

 心と体を考えたときに、私たちは、カビを抱えた体で、いわば日々、ポンコツ車を乗りこなしているようなものではないでしょうか。生きている限りはこの車を使っていかなくてはなりません。壊れたら、その都度、修理しながらガタピシガタピシいわせながら、何とか乗りこなす。しかし、長く使っていると、どこが故障しやすいか、わかってきます。そこの部分を適度に修理しながら、乗っていけばいいのです。寅三郎はそう思います。

  車に乗る目的は、乗ること自体にあるわけではありません。どこか、行きたいところ(自己実現したいこと)があって、そのために乗っているはずです。乗ること自体に価値を見出しても仕方のないことですので、あまり意識しないで暮らしていきたいものです。

  

 (2)寅三郎の場合

発熱について、この病にかかって、発熱の症状は何度かありましたが、アスペルギルスを原因とするというよりは、インフルエンザウィルスや細菌感染を原因とする発熱でほぼすべてだったような気がしています。咳が多い日が何日か続き、痰が多くでるようになって、38度以上の発熱が何度かあって、気になって、病院に行くと入院を示唆されるといったような次第です。

 このようなことから、カビが原因して、発熱するという仕組みがあるのかどうか、もちろん、最初に侵入したときは、外敵として認識しますから、免疫細胞も、発熱を促すのでしょうが、すでに居ついてしまった住人(カビ)に対してはどうなのか。そこは、寅三郎にもよくわからないところで、いずれ先生に伺ってみたいと思うところです。ただ、いずれにせよ、私たちに必要なことは、外部から菌を寄せ付けない、もし入ったら、徹底的にたたく、それに尽きると考えています。

 胸痛については、たまにチクチクと胸の中心あたりが痛むことがあります。寅三郎の場合は、だいたいは、逆流性食道炎による炎症が原因でしょう。自分の弱みを把握しておくということは、むやみやたらと医者にかかるよりは大事なことだと思っています。

※次回は、「なぜ痰がでるか」の紹介をいったん中断して、アスペルギルスに罹っている自分が、いまどの段階にあるか、客観的に把握する指標が見つけられないか、悩んでみたいと思います。一患者に何がわかるかといわれれば、その通りなのですが、これが把握できるか、できないかは、この病気をコントロールしながら暮らしていくうえで、とても重要なことのように思います。