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虫垂炎はなぜおこる

 「ギリシャヒポクラテスの時代から、腹痛や腹膜炎の原因となる虫垂炎が知られていたが、なぜ起こるのかは」不明だったそうです(治療79巻10号 安保徹/著、以下同じ)。きっかけとなったのは、1994年12月に、新潟県坂町病院の副院長だった福田稔先生が「天気がよくなってゴルフに行こうとすると、アッペ(虫垂炎)の手術が入って行けなくなる。この謎を解いてほしい」と安保先生に依頼があり、共同研究がスタートしたとのこと。摘出虫垂の病理診断の結果にそのときの気圧を照らし合わせたところ、低気圧では、リンパ球の影響が強く出てカタル性の炎症(粘液)が出るが、高気圧では、顆粒球の影響が強く出て化膿性の炎症(膿が出る)がみられたとのことです。これを時系列にしてみたところ、低気圧では副交感神経優位でリンパ球増加、高気圧では交感神経優位となって顆粒球増加の関係が明瞭に見られたとのことでした。

 もっと驚いたことには、壊疽性の虫垂組織を電子顕微鏡で調べたところ、顆粒球が組織を破壊していることはみられたが、細菌が侵入した痕跡はどこにも見られなかったとのこと。これは、何を意味するかといえば、細菌の侵入がないにもかかわらず、顆粒球が組織を破壊した結果、壊疽性の虫垂炎を引き起こしていたことを意味すると思われます。(敵がいないにもかかわらず、一方的に攻撃を加える)交感神経の暴走によるものです・・・

 一方で、カタル性の虫垂組織を調べたときには、一般の風邪の原因となるアデノウィルスが検出されたとのこと。風邪で鼻を垂らしているときには、虫垂もカタル性の炎症を起こしていたことが想像されるとのことでした。リンパ球は全身に張り巡らされ、外敵の侵入に備えています。ウィルスの侵入があれば、鼻に限らず、腸も粘液を垂らす(腸カタル)ものかと興味をそそられました。そう考えると、健康維持のためには交感神経と副交感神経が一方に偏りがちになることは好ましくなく、バランスを保つことが重要だということがわかります。

※久々に投稿しました。ご覧いただき、どうもありがとうございました。