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免疫を高める漢方薬について

 この病に罹って、寅三郎はこれまでに補中益気湯(エキス剤)、十全大補湯(生薬)を処方いただき、それなりの効果を実感してきました。西洋薬の場合、酵素阻害薬などを考えれば明らかなように、酵素の働きを阻害することで、体内での生化学反応を先に進めなくして所定の効果を出す薬なので、原因と結果が一対一に対応しています。これに対して、漢方薬の場合、補中益気湯十全大補湯いずれにしても、様々な生薬を組み合わせて構成されているため、このうちどれが効いて効果が得られているのか、なかなか説明が難しい点があります。この意味で、漢方薬はいってみれば総合感冒薬のようなものではないかとの思いが寅三郎にはありました。

 ところが、最近、補中益気湯が、リンパ球のヘルパーT細胞の働きを直接強めることに言及したとみられる文献を見つけました。引用すれば、補中益気湯は「腸管上皮間リンパ球からのインターフェロンγ産生によりマクロファージを活性化」する働きがあるとするものです。リンパ球の働きについては、別の参考文献からの引用で恐縮ですがヘルパーT細胞は、「B細胞に作用して抗体をつくり出させること」と、「マクロファージやキラーT細胞に攻撃指令を与えて活性化させる」ことの二つの働きがあるとされます。このうち、補中益気湯についての上記論文の言及は後者に関連したものとみられます。もしそうであるなら、漢方薬としての免疫賦活薬は、少なくとも補中益気湯に関する限りは、免疫細胞に直接働きかける一対一の効果を持つと考えることができそうです。おそらくは十全大補湯も同様の作用機序を持つのでしょう。免疫力を直接高める薬剤は、西洋薬にはないとのことですので、ブイフェンドを服用すると同時に、こういった漢方薬の併用も有効ではないかと考えた次第です。先生にご相談すれば、エキス剤がもらえるはずです。ただ、漢方薬(エキス剤)は食間で、ブイフェンドも食間です。同じ時間帯で飲んでもよいと思いますが、確認が必要です。

 一方で、最近は免疫細胞の司令塔であるヘルパーT細胞を刺激して免疫機能の活性化を及ぼすものや、NK細胞を活性化させる食品なども市販されています。これらを上手に取り入れていきたい。ただ、サプリに頼りすぎることは避けたい。理由の一つに、食品からとれば消化酵素も同時に摂取できますが、サプリからとれば、サプリの消化酵素は体内の消化酵素を使わざるを得なくなるということがあります。その分、代謝に回す分が減るのではないかと考えられます。

(参考)

キラーT細胞の役割 (wakarugantenittmgd.com)

漢方薬の免疫薬理作用 ―慢性疾患の改善作用の主要機序として― 、川喜多卓也、日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)132,276~279(2008)